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INTERVIEW

先人たちの知恵と優しさを世界へ!廃業した祖父の文房具屋を、日本の伝統食材などを扱う地域商社として復活させた「田谷商店」田谷優子さんインタビュー。

INTERVIEW

先人たちの知恵と優しさを世界へ!廃業した祖父の文房具屋を、日本の伝統食材などを扱う地域商社として復活させた「田谷商店」田谷優子さんインタビュー。
2023.08.06

先人たちの知恵と優しさを世界へ!廃業した祖父の文房具屋を、日本の伝統食材などを扱う地域商社として復活させた「田谷商店」田谷優子さんインタビュー。

通信会社の総合職を経て、地域商社「田谷商店」を起業された田谷さんに起業ストーリーを伺います。

――最初に、田谷さんのこれまでのご経歴を教えてください。

 

(田谷さん)1988年千葉県生まれの34歳です。大学卒業後、新卒で通信会社へ入社しました。

 

会社では10年間、営業や販売促進、新規事業企画などを経験し、2021年に夫の転勤を機に退職したのち、奈良県へ移住しました。翌年、地域商社「田谷商店」を創業。現在は、夫と子どもの3人で、忙しくも楽しい日々を過ごしています。

 

 

――田谷商店の歴史を教えていただけますか?

 

(田谷さん)田谷商店は元々、大好きな祖父が経営する文房具屋でした。大手スーパーやインターネットでいつでも文房具が手に入る世の中になったことなどから、2009年祖父の代で、文房具屋「田谷商店」は廃業。

 

当時、私は大学生でしたが、田谷商店の看板が外されるのがとても寂しく、いつか自分の手でもう一度、田谷商店の看板を掲げたいなと思いました。それから10年以上たった今、色々なご縁を頂き、新しい形での地域商社「田谷商店」をスタートさせています。

先人たちの知恵と優しさを世界へ!廃業した祖父の文房具屋を、日本の伝統食材などを扱う地域商社として復活させた「田谷商店」田谷優子さんインタビュー。

田谷さんのおじい様が営んでいた初代「田谷商店」

 

――田谷商店再構築に至った、きっかけは何だったのでしょうか?

 

(田谷さん)会社員時代、地方創生プロジェクトに携わったことが転機でした。

 

地域の伝統産業が、消費量の減少や担い手不足によって事業縮小している現状を知ったんです。しかし、当時は会社の看板を背負っている以上、事業に関係のない分野にまで手足を動かすことが難しく、非常にもどかしい想いをしました。

 

その頃から、伝統産業のV字回復に貢献すべく、地域商社「田谷商店」として挑戦してみたいと考えるようになりました。その1年後に夫の転勤の話が舞い込んだので、今だ!と思いましたね。

 

 

――総合職のポストを手放すことへの葛藤はありませんでしたか?

 

(田谷さん)抜群に働きやすい会社だったので正直悩みました。ただ良くも悪くも楽観的なところがあるので、収入が減ったらそれ相応の生活をすればいいかなと思い、退職を決断しました。

 

また、「田谷商店」ひとつで収入を作らなくてはいけない、というプレッシャーはあまりなく、アルバイトや投資など、複数で収入があればいいかなと思っていました。

 



 

――新たな土地への移住を経て田谷商店を起業。大変だったことはありますか?

 

(田谷さん)「田谷商店」として「地域商社をやること」までは決まっていましたが、「何を売るか」が決まっていませんでした。自分の強みを活かして、他社と差別化を図る。田谷商店にしかできないものを作る。頭から湯気をだしながら悩みましたね(笑)。

 

色々なアイディアを考えては、「こういうものを作りたいので、相談に乗ってください」と委託会社へ飛び込みで営業する日々。「あなたの考えているものは売れないと思うよ」という厳しいお言葉をいただくこともありました。

 

 

――葛湯に行きついた経緯は何だったのでしょうか。

 

(田谷さん)「何を売るか」を考えるうえで、地域に根付いた伝統的な食材を使いたいという想いと、できた商品を海外まで届けたいという2つの想いがありました。

 

そんな中、吉野山のふもとで初めて出来立ての葛餅を食べたときは「これだ!」と思いました。

 

吉野葛は和菓子に使われることが多いですが、和菓子は生活の中で少し特別なものですよね。また、世界に輸出するには賞味期限の壁もあります。和菓子よりもうちょっと日常的に楽しめるものがいいなと考えていくうちに葛湯に辿り着きました。

 

現代のライフスタイルに合った新しい葛湯を開発する、これを田谷商店でやってみようと思いました。

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葛の真っ白い粉は、植物の根からできています。

 

――日本の良いものを世界へ、という想いがあったのですね。

 

(田谷さん)地域商社である田谷商店のミッションは、地域にきちんとお金を落とすこと。そう考えた時、国内消費だけではなく、海外消費を増やすことに挑戦してみたいと思いました。

 

今後は、フランスなどの洋菓子店に葛を取り入れてもらったり、海外の事業者さんと一緒に何かをやってみたりしたいと漠然と考えています。日本人では想像できない、海外の人ならではの葛の活かし方があると思っていて、海外の食文化と上手く融合できたらと考えるとワクワクします。

 



 

――ところで、田谷商店で人気の商品は何でしょうか?

 

(田谷さん)定番で人気なのは葛湯です。商品すべて無添加で、使用する原材料は奈良県産のものを中心に厳選しています。レシピについては、委託会社様と共に何度も試作を繰り返し、オリジナルレシピを考えました。ギフトにしやすい和モダンのパッケージにもこだわっています。

 

転勤族の妻という立場も弱みのようで強みだと思っていて、もしまた夫が転勤になった時には、次の転勤先での吉野葛と別の伝統産業のコラボをやってみたいと考えています。楽しみにしていてください!

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定番の葛湯。小分けタイプはちょっとしたお礼にもおすすめ。

先人たちの知恵と優しさを世界へ!廃業した祖父の文房具屋を、日本の伝統食材などを扱う地域商社として復活させた「田谷商店」田谷優子さんインタビュー。

目新しさのある葛餅スコーンはギフトに!

 

――田谷商店は物づくりの会社ですが、幼少期から物づくりが好きで、手先が器用だったのですか?

 

(田谷さん)そんなことないんですよ。製造以外、全部自分一人でやっていますが、実際は手先を使う作業ってあまりないんです。商品を段ボールに詰めるくらいで(笑)。

 

物づくりにおける商品企画⇒製造⇒販売という一連の流れの中で、「製造」は地元の葛メーカーさんに委託しています。作りたい商品を決めて、レシピやパッケージを決めて、原材料の仕入れ先や販売先を決めることなどが、私のメインのお仕事です。前職での営業や企画の仕事が今に生きています。

 

 

――物づくりに興味はあっても分からないことが多い人はたくさんいると思います。具体的には、どのように始めるのでしょうか?

 

(田谷さん)私の場合、漠然としたイメージを具体化することから始めました。「どんなものを」「いくらで売るのか」「お客さまはどんな人か」などです。そのうえで、大手とはどこが違うのか、販売はネットか店舗か、などを考えていきます。

 

ただ一人で考えていてもよくわからなくなってくるんですよね、、そんな時に力を貸してくださったのが経済産業省の事業「よろず支援拠点」です。全国に設置されていて、無料で公認会計士や税理士の方などから小規模事業者に必要な経営のノウハウを教えてもらえます。私もここに通い、ビジネスモデルを一緒にブレストしてもらいました。創業以降、今もずっと伴走支援していただいています。

 

方向性が決まった後、私の最初の一歩はSNSのDMや企業HPのお問い合わせフォームからアプローチすることでした。そこから商品開発の打ち合わせが始まっていくことが多く、一歩踏み出すことで未来が開けていくと思いますよ。

 

 

――自分らしさを発揮して何かを始めたいと思っている人へ、ひと言お願いできますか?

 

(田谷さん)何か新しいことを始めるときって、最初の一歩目が本当に重いんですよね。私は何の資格も持っていないごく普通の会社員でしたし、既に世の中に地域商社は沢山ある中で「本当に自分にできるのか」と一人悶々と悩みました。その時に、生まれてから今までの生い立ちをゆっくり振り返ったんです。そうすると、『女子校出身』『転勤族妻』『元営業ウーマン』など一見なんていうことのない特徴が、地域商社をやる上ではオリジナリティにつながるかもしれないと気がつきました。

 

皆さんにしかできないことも絶対にあるので、私は心から応援しています。

 

 

――最後に、田谷さんの今後の展望についてお聞かせください。

 

(田谷さん)葛湯については、今後離乳食や介護食、災害時の非常食として強みを発揮できるような売り方を考えていきたいです。販路としては、今はオンラインショップのみですが、お客さまと直接話せるポップアップの場を増やしていきたいですし、5年以内には海外展開もしたいです!

 

プライベートではいつか戸建てを建てたいので、そこに昔のたばこ屋サイズの窓を設けて「田谷商店」がやれたらなとも思っています。

 

また、商品開発や販売促進など、会社様とのコラボレーションを積極的に行っています。田谷商店と何か一緒にできるかもしれないと思われた方は、ホームページInstagram(@taya_shoten)のDMにてお気軽にお声がけください!

 

 

【最後に田谷さんから、お知らせです】

 

現在、東京・新橋にある奈良県のアンテナショップ「奈良まほろば館」にて田谷商店の葛湯を販売しています。

 

奈良の特産品を数多く品揃えしているショップに加え、旬の県産食材を使ったカフェ・レストランもあり、奈良を満喫できる楽しい空間です。

 

以下の日時に田谷さんが店頭に立たれるそうです。よろしければ、ぜひ足を運んでくださいね。

 

・開催;2023年8月21日(月)まで
・田谷さん在店日時:

-8月8日(火)14時~19時

-8月9日(水)13時~17時

先人たちの知恵と優しさを世界へ!廃業した祖父の文房具屋を、日本の伝統食材などを扱う地域商社として復活させた「田谷商店」田谷優子さんインタビュー。

奈良まほろば館では、奈良で生まれた魅力的な商品が購入できます。

 

――田谷さん、ありがとうございました!田谷商店の今後の取り組みを楽しみにしています!

 



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この記事を書いたのは

松田 梓まつだ あずさ

ファイナンシャルプランナー。

Riche編集長。

 

大学卒業後、大手通信会社へ総合職として入社し、広報・PRに従事。その後、大手生命保険会社を経て、2019年にファイナンシャルプランナー(以下、FP)として独立。これまで200人以上のお客様の家計相談や資産運用のアドバイスを行う。金融機関での業務経験と広報・PRの経験を活かし、お金に関する記事執筆も多数行っている。

 

2012年から趣味の株式投資を開始。「FPとして難しい資産運用を分かりやすく、楽しく情報発信したい」と2016年に始めた資産運用をテーマにしたブログが人気となり、お金の情報発信により女性のお金の不安を払拭するため、株式投資の売却益を資本金に会社を設立。女性のお金とキャリアをテーマにしたWEBメディア「Riche」を運営。

 

プライベートでは子育てを日々楽しんでいます。

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