この記事を書いたのは
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学卒業後、金融業界に就職。営業・企画業務に従事。資産運用やローンなど幅広い業務を経験し10年以上お金の仕事に携わる。
結婚・出産やマイホーム購入等、自身のさまざまなライフイベントを経験する中で、少しでも、賢いお金の使い方を多くの人に届けたいという思いが大きくなり、2021年より執筆活動を開始。
プライベートでは、保育園に通う1児の母。
目次
住宅ローンを借りるとき、「いくら借りるのか」「どこから借りるか」「金利はどうするか」などはいろいろと調べる一方、「どのくらいの期間で返済するのか」ということに関してあまり深く考えず住宅ローンを組んでいませんか。
銀行が扱っている住宅ローンの多くは、1年以上35年以内、完済時の年齢は80歳と決められています。つまり、80歳までに完済するのであれば、住宅ローンの借入期間は20年でも30年でも問題ないのです。
しかし、住宅販売の広告に載っている不動産会社がシミュレーションしてくれたローンの返済計画は35年になっていることがほとんどのため、住宅ローンは35年と思い込んでいる人が多いように感じます。一般的にこのような広告やシミュレーションは購入しやすいと感じてもらうように、返済期間を最長の35年にして月々の返済額を少なくみせているのです。
20代は35年で住宅ローンを組んだとしても、現役中にローン返済が終わる一方、30代は現役期間中にローンの返済が終わりません。60歳以降は働くことができたとしても、セカンドキャリアなどで収入が大きく減ってしまう可能性があります。
では、35歳で35年ローンを組んだ場合の例で考えてみましょう。
借入額4000万円を金利1%で35年返済の条件で借りた場合、25年後の60歳の時点で、約1200万円のローンが残っていることになります。
毎月の返済額は、金利1%だとしても約11万円です。65歳からの平均収入は公的年金給付とその他の収入の合計は約24万円(出典:総務省統計局「家計調査年報2021年」)と言われています。収入に占める返済比率は40%超となっており、理想と言われる20%を大きく上回ってしまいます。この場合、貯蓄がなければ老後破産につながりかねません。
35歳で住宅ローンを組むのであれば、最初から返済期間を25年にして60歳までに返し終える方法があります。この方法であれば、60歳で迎える定年退職や再雇用による収入減があっても、住宅ローンは完済している状態ですので、余裕をもって生活できます。
また、返済期間が短い方が支払う金利は少なく済むメリットもあります。先ほどと同様、借入額4000万円、金利1%でシュミレーションした場合、35年で完済した合と25年で完済した場合では、25年で完済した方が約200万円支払う金額が少なくすみます。
しかし、毎月の返済額は約15万円と35年でローンを組んだ時より4万円程増えてしまうので、毎月の返済が問題なくできるかよく検討しローンを組みましょう。
60歳などの自身の定年退職するタイミングで残った住宅ローンを一括で繰り上げ返済する方法もお勧めです。25年などの短く返済期間を設定する方法と同じく年金生活になっても余裕をもって過ごすことができます。この一括返済の資金は、住宅ローン控除や子供が独立後に老後資金とは別に貯めるなどすると良いでしょう。
メリットは25年でローンを組んだ場合と同様、繰り上げ返済分の金利負担がなくなるので、35年間で返済し続けるより総額の支払額もすくなくなります。この場合、自分自身で定年退職時点の住宅ローン額を把握し、しっかりと計画をたてる必要があります。
もし、一人で計画を立てることに不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみるとよいかもしれません。
まとめ
30代で住宅ローンを組むとき、返済期間をしっかり考えずローンを組んでしまうと老後破産をまねきかねません。また、返済期間をよく考えることで長期的なライフプランについて考えるきっかけになります。25年でローンを組むことや一括返済など、ご自身の年齢や貯蓄状況などを考慮し、自分にとって最適な方法を選択してみてください。
この記事を書いたのは
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学卒業後、金融業界に就職。営業・企画業務に従事。資産運用やローンなど幅広い業務を経験し10年以上お金の仕事に携わる。
結婚・出産やマイホーム購入等、自身のさまざまなライフイベントを経験する中で、少しでも、賢いお金の使い方を多くの人に届けたいという思いが大きくなり、2021年より執筆活動を開始。
プライベートでは、保育園に通う1児の母。
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