--退職から教室開校まではどのようなスケジュールでしたか?
(中澤さん)お稽古は新年度4月から新しく始めるケースが多いので、各ご家庭が習い事を検討し始める2月~3月頃から本格的に準備を始め、4月開校に備えました。最初、生徒は20人ほど集まり、そこから毎月3人、4人とコンスタントに生徒が増えていきました。
--順調なスタートだったのですね!開校に伴い、大変だったことはありましたか?
(中澤さん)教室を開校した初期の頃に、生徒や親御さんとの信頼関係を作るまでが最も苦労した気がします。生徒は増えていましたが最初なので自分の指導に自信がなく、子どもたちや親御さんは満足されているだろうかと、開校当初は夢でもそろばんをやっていました。(笑)
順調なはずだけれど、不安もあり必死でしたね。周りから見ると順調に見えるかもしませんが、最初から順調だったわけではないんですよ。
--少子化の日本で子どものお稽古の教室を起業されることに不安はありませんでしたか?
(中澤さん)少子化でも教育費は惜しまない傾向がある気がしています。私のような地域密着のそろばん教室の場合には、何百人・何千人の子どもを集めるのではなく、数十名の生徒が満足度高く、通い続けてくれることが大切だと思っているので、そこまで懸念はしていませんでした。
将来的には海外の子ども向けのレッスンや大人向けの脳活レッスンも面白いかもしれないと漠然と思っています。
--生徒が増えて、現在はスタッフを雇っているのですよね?
(中澤さん)開校1年目に生徒が60人を超えてきた頃から、ひとりで経営することに限界を感じるようになり、そのタイミングでスタッフを雇い、次の年に生徒が100人弱になりました。
スタッフを雇い教室を大きくしていくのか、私ひとりで教室を経営していくのか。2つの選択肢を考えたときに、これから先、自分ひとりではなくチームとして教室を強くしたいという気持ちがありました。結果、チームで得意不得意を補完しあうことができ、またスタッフを雇ったことでメンタル面が楽になりました。ちょっとした相談のできる頼れる人ができたことは大きいですね。
正直なところ、会社員のときに管理職に憧れたことはなかったのですが、自分がマネジメント側にまわるのも楽しそうだと初めて思いました。
--コロナ禍での教室経営は大変だったのではありませんか?
(中澤さん)コロナ禍での教室運営についてはとても悩みましたが、私はコロナ禍でオンラインレッスンに切り替える決断をしました。レッスンを止めてしまったら子供たちのやる気や興味が変わってしまうと感じたからです。
新たな試みとして、指導動画の配信も始めました。子供たちが外出できないなかで元気を与え、オンラインでつながることを楽しんでもらいたい、気分転換になってほしいと思ったんです。オンラインのYouTube動画は、今でも続けています。あの時にチャレンジできたのは良かったですし、コロナ禍で学んだことはたくさんありました。
--お話を伺っていると、大変なことがあっても上手く乗り越えて来られている気がします。なぜ中澤さんはうまくいくのだと思われますか?
(中澤さん)私の場合、これは生徒のやる気・成長に繋がるか?生徒に愛情をもった指導ができているか?そこにフォーカスしています。
また、自分が親になって思うのは、お稽古はスキル習得だけでなく楽しく通えるかも大事だということ。嫌がっている子どもを教室に連れてくるのは親御さんも大きなストレスです。コミュニケーションこそが信頼関係に繋がると思っているので、お迎えに来る親御さんにはお子さんの様子を出来るだけ伝えています。
フランチャイズなので指導マニュアルがありますが、生徒・親御さんとのコミュニケーション、教室の雰囲気作りなど、私なりのアレンジを加えているのはひとつの理由かもしれませんね。