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2023.06.12

会社を辞めたら・・・忘れちゃならない!確定拠出年金の移管手続き

Richeを読んでくださっている方には会社にお勤めの方が多くいらっしゃると思います。
今の会社を辞めて、キャリアアップをしたい!フリーランスとして頑張ってみたい!少しのんびり自分の時間を過ごしたいなどなど、考えている方もいるのではないでしょうか?いろいろな可能性があるのが人生ですが、会社を辞めるということは、今まで会社がやってくれたことを自分で引き受けて管理するという仕事が生まれます。

今回のテーマは会社を辞めたら忘れちゃいけない大事な手続き、確定拠出年金の移管手続きについてです。

1. 確定拠出型年金の加入者数は?

2001年から始まった確定拠出年金は2022年3月には加入者が720万人になりました。

 

これだけ多くの人が加入している確定拠出年金ですが意外と自分で運用資金を把握している人は多くないようです。確かに企業型確定拠出年金は、会社がお金を出しているとはいえ、毎月の厚生年金のように給与から天引きされているわけでもなく、給与明細に載ることもないので、つい忘れてしまいそうになるお金だと思います。

 

2. 「放置年金」は年々増加!すごい金額になっている。

退職後に企業型確定拠出年金(以下企業年金)の手続きをせずに放置されている「放置年金」は年々増加しています。

 

2022年9月の時点ではなんと112万人分が放置されていて、同年3月末の時点でその金額はなんと約2,600億円!

 

「貯蓄から投資へ」という政府主導のスローガンのもとNISAやiDecoはずいぶん知れ渡るようになりましたが、まだまだ日本人のマネーリテラシーが高いものではないということが伺えます。

 

「放置年金」はいったいどうなってしまうのでしょう?

 

一定期間、手続きされなかった「放置年金」は国民年金基金連合会に自動的に移管されてしまい、運用指図をすることができなくなってしまいます。何もすることができなくなるうえに口座管理手数料は毎月かかりますので、どんどん目減りしていきます。そのうえ、一定の用件を満たさなければ引き出すこともできなくなってしまうのです。

 



 

3. 「放置年金」にしないためには何をするべき?

企業年金を「放置年金」にしないためには何をするべきでしょうか?

 

簡単に言うと、会社を辞めたあとの受け入れ先を準備して移管手続きをします。

 

退職したあとの働き方によって変わってきますので、個々に手続きが変わります。

 

共通しているのは、退職後(企業年金の加入資格喪失から)6カ月以内に移管しなければならないということです。この期間をすぎてしまうと国民年金基金連合会に移管されてしまいますので期間が厳守しましょう。

 

主な移管手続きを挙げてみます。

 

・半年以内に転職先が決まっている場合

 

転職先に企業年金の制度があるか確認します。制度があれば移管する。

制度がない場合は自分でiDeco口座を開設して移管手続きをします。

 

・半年以上先に転職する場合

 

自分でiDeco口座を開設して移管する。

転職後に企業年金がある場合は移管することができますが、引き続きiDecoで運用することもできます。

 

 

・フリーランス(国民年金第1号被保険者)になる場合

・専業主婦(国民年金第3号被保険者)になる場合

・しばらく就職しない場合

 

自分でiDeco口座を開設して移管する。

 

基本的には移管先を決めて期限までに企業年金を移動させるだけなのですが、放置されてしまう原因は退職してから手続きできるようになるまで時間がかかることだと思います。

 

企業型年金の移管は退職後に会社が手続きをして、運用管理機関から加入資格喪失手続き完了の通知が届いてから初めて手続きができるようになります。

 

退職後に住所が変わって通知が届かないケースも考えられますので、移転の予定がある方はあらかじめ転送届を出しておくなど、確実に通知が手元に届くようにしておきましょう。

 



 

4. 移管先の金融機関は「どこも同じ」ではありません。

iDeco口座を開設するにあたって、「面倒だからどこでもいいかな」と適当に決めてしまうと何十年後の資産形成に大きな差がでてしまいます。

 

なぜならiDeco口座には初期費用と口座管理手数料がかかるからです。初期費用は加入手数料で2,829円かかります。

 

差がでてしまうのは口座管理手数料です。毎月かかるものなので、手数料の高い金融機関に口座を開設してしまうと何十年間も支払う金額の差は大きくなります。

 

例えば、口座管理手数料の最安値は171円(2023年現在・国民年金基金連合会に105円+事務委託手数料66円)で、年間にかかる費用は2052円です。口座管理手数料の最高値はだいたい500円~600円程度なので、仮に550円として計算すると年間の手数料は6,600円になります。

 

では、これを30年にわたって払い続けているとどれくらいの差になるでしょうか?

 

・2052円×30年=61,560円

・6600円×30年=198,000円

 

なんと、最安値の3倍以上の手数料を支払っているということになります。

 

運用資金から手数料が引かれるので、30年間でこれだけ資産が目減りするということです。このお金が投資に回せれば、福利効果でもっと受取金額が増えていたかもしれません。

 

次にポイントとなるのが、投資できる商品のラインナップです。

 

どんなに手数料の安い金融機関で口座を開設しても、投資したい商品がなければ資産を増やすことはできません。また、信託報酬手数料が高い商品しかなかったら、せっかく口座管理手数料を抑えても結局手数料負けしてしまう可能性が大きくなります。

 

自分が投資したい商品で信託報酬手数料を抑えた商品がある金融機関を選びましょう。

 



 

5. 企業型年金からiDecoへ。やっておけばよかったと思ったことと注意するべきこと。

実は私も2017年に会社を退職して、企業型確定拠出年金からiDecoに移管をした経験者です。

 

今にして思えば移管した後にやっておけばよかったと反省していることがあります。

 

私の場合、退職から新たな仕事を始めるまでの2年間は退職時に移管したお金だけで運用をしていました。でも、よく考えれば毎月口座管理手数料がかかるわけですから、新たに拠出金を入金しなければ資産は目減りしてしまうわけです。経済的に出せないわけではなかったので、入金をしておけばよかったなと思っています。今はたとえ収入がなくても月々5,000円~10,000円程度は入金できるよう余裕資金を準備しています。

 

注意するべきことは年金の種類が変わったときです。

 

iDecoは年金と連動しているので、加入している年金の種類が変わったらその都度届け出をする必要があります。

 

国民年金から厚生年金に変わった時や同じ厚生年金でも会社を変わった時は都度iDeco口座を開設した金融機関に指定された書類を提出しないと拠出が止まってしまうのです。

 

国民年金に変更した時は自分で書類を作成できますが、厚生年金になったときや、転職した時は会社に加入資格があることを証明する書類を会社に準備してもらわなければなりません。

 

提出のタイミングも月1回の締め日に間に合わないと翌月の手続きになってしまいます。私の場合はタイミングが合わず、拠出が再開するまで4カ月かかりました。

 

退職してiDeco口座を開くまで、開いてからも、状況が変わったら都度自分で手続きをする必要がでてきますので注意が必要です。

 

退職後やることのTODOリストには最重要事項として加えておきましょう。

 



 

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この記事を書いたのは

ふなにっし~ ふなにっし~ 

銀行勤務を経て、クレジットカード会社在籍時にファイナンシャルプランナー資格を取得。
退職後は投資で増やしたお金を学費にして長年学んだ韓国語を現地で学ぶため1年間韓国に留学。
常に働きながら学ぶ生活を続けてきた経験から「未来のためにお金を育てる」をモットーに、日常生活とお金のこと、韓国生活についてブログで情報発信をしている。
得意分野は社会保険、働きながら学ぶこと、これからお金を貯めたい人への情報発信。

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