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2023.06.13

自営業者が行うコスト削減。家庭・個人でも生かせる5つの工夫とは?

習い事(そろばん)教室を開校して、今年で6年目となりました。
今も変わらず、目の前の生徒・親御さんが何を求めているのか、どんな指導・働きかけが生徒に響くかなど…生徒へのそろばん指導、教室経営を試行錯誤しながら行っていますが(価値提供/攻めの部分)、表立って見ないところでは、コスト面も意識ながら、小さなお教室経営を守っています(コスト削減/守りの部分)。
経営を続ける上で、攻めも大事だけれど、守りも重要。今回、自営業の方だけではなく、ご家庭や個人でも生かせるコスト削減の工夫を5つお話します。

1. 起業後の企業生存率は? 

「起業後、10年以内に9割の企業が倒産する」なんて記事も目にしたことがありますが、実際のところ、起業後の企業生存率はどれくらいなのでしょうか。

 

中小企業庁の2017年中小企業白書によると、企業生存率は、創業1年目で95.3%、2年目で91・5%、3年目で88.1%、4年目で84・8%、そして5年目で81.7%とされています。

 

 

自営業者が行うコスト削減。家庭・個人でも生かせる5つの工夫とは?

また、欧米諸国と比較した場合、起業する企業数は欧米諸国に比べて少ない一方で、起業後に市場から退出することなく長期にわたり事業を継続させている企業の割合は、欧米諸国に比べて、高い傾向にあるとされます。

 

※但し、帝国データバンク内のデータとなるため、ある程度大きな企業規模の生存率が集計されていること、データベース収録までに一定の時間を要するため、実際の生存率よりも高めに算出されている可能性があります。

 



 

2. 事業を続けるためにも、攻め(価値提供)と守り(コスト削減)の両輪を意識する

では、廃業の要因は何が考えられるのでしょうか。廃業の要因は様々想定されますが、その中でも、➀後継者問題(帝国データバンクの調査(全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年))によると、約26万6000社(全国・全業種)の後継者不在状況は、全体の約65.1%に当たる約17万社で後継者不在)、➁人手不足(2023.3月時点の有効求人倍率は1.32と、求人数が求職者数を上回っており、特に中小企業などの場合、人材確保・維持が難しいと想定)、そして言わずもがな③業績悪化(資金面の問題)は主な要因として想定されます(複合的な場合も)。

 

特に小さな経営をしていて感じることは、チリツモとも言えるコスト削減が、経営を続ける上で地味に響いてくる、ということ。サービスの価値を高めながら、固定費・変動費のコスト削減を実施していく(【攻め】と【守り】の両輪)。少しずつ体を鍛えるようなイメージで、両輪を鍛え、筋肉質な経営を目指していくことが重要になります。

 



 

3. 家庭や個人でも活用できるコスト削減の工夫とは?

大きい固定費の削減や自営業ならではの節税対策などももちろん意識していますが、ここでは実際に教室経営で実践していて、ご家庭や個人でも応用できるコスト削減の内容を5つほど、ご紹介させていただきます。

 

一つ一つは小さなコスト削減ですが、そうした小さな部分へのコスト意識・削減をするからこそ、多数の小さな穴を防ぎ、無意識の水漏れ(利益減)防止に繋がると思っています。

 

 (1) 物を丁寧に扱う

机も椅子もそろばんも…。丁寧に扱えば何年も何十年も使うことができます。丁寧に扱うことで、愛着が涌きますし、その物との思い出、物語も生まれます。実際、私が使っているそろばんは小学校低学年から使用しており、30年近く私の傍ある、相棒のような存在です。

 

自営業者が行うコスト削減。家庭・個人でも生かせる5つの工夫とは?

このそろばんとともに、たくさんの経験・思い出を重ねてきたなぁと振り返って思います。丁寧に扱った結果、コストもミニマム化でき、良いことづくめです◎

 

 

これは日常生活にも応用ができます。購入したものを丁寧に扱う。丁寧に扱えるような心から欲しいもの・必要な物は?と考えるクセをつける。例えば、私の場合は、食器や家具は少しずつお気に入りのものにアップデートしていますが、そうすることで、日常の満足度が上げながら、次々欲しいといった感情がなくなり、結果として、無駄買い防止ができていると感じています。

 



 

 (2) 買ったもの・あるものを使い切る

問題集などの業務に直接関わるものから、ペンやホチキスなどの消耗品、パンフレットやチラシといった広報紙なども…しっかり使い切る。そんな意識を持っています。そのためにも、必要な分だけ購入する、使いきれない・途中で捨ててしまうものがあった場合には、なぜそうなったのか?を一度考えてみる。そうすることで、今度は買わない、買う量を減らすなど、次の経費削減に繋げていくことができます。

 

これも日常生活に応用ができるかと思います。例えば、私の場合、調味料などは使いきれるものだけを基本的には揃えるように心がけていますし、洗顔料やお掃除グッズも自分がしっかり使い切れるものを厳選して買うように心がけています(使い切ったときの心地よさも、結構好きです笑)。また鍋や食器などのキッチンツールやコート・カバンなどは、「重い」と感じると、使用頻度が下がることに気づき、それからは選ぶ基準に「軽さ」を取り入れるようになりました。

 

 (3) 横のつながりを大事にする(積極的に聞くし、自分も情報を積極的に開示する)

私はフランチャイズ加盟にて教室を開校しましたが、加盟校の先生方やSNSを通じて知り合った先生方と積極的にコミュニケーションを取るようにしています。その際、恥ずかしがらず、生徒の指導方法について、相談したり、ご意見を伺ったりもします。そうすることで、自分一人では思いつかなかった解決策が出てきたり、次の一手が見つかったりすることがあります。もちろん情報をいただくだけではなく、自分の持っている情報や経験を提供することも意識しています。そうすることで、互いにお金はかけずとも、新たな価値を生み出したり、課題が解決することが少なくありません。

 

これは個人でも実践できる部分があるかと思います。ちょっと聞くのは恥ずかしい…どうやったらいいか分からない…といった時にも、思いきって聞いてみる・連絡(行動)してみる。思ったより相手は嫌がらず、むしろ好意的に対応・回答してくれることも少なくありません。そして、takeするだけではなく、自分もgiveできるよう、自己研鑽したり、経験値を高めたりする。それは今後、自分の財産にも自己価値にもなっていくのではないかと思っています。

 



 

 (4) 【消費行動】ではなく、プロセスも楽しめる【生産行動】を取り入れる

「これが欲しい」「これを買いたい」などの消費欲求は、私もありますが、お金を支払ってすぐに完結するものだけではなく、プロセスが長く、その過程で、自身の経験やスキルに繋がる(人の役に立てば更に良しの)「生産行動」を仕事に取り入れることも意識しています。

 

例えば、生徒が活用できる練習動画を作成する、新たな夏休みのイベントを考える、ブログを通してそろばんの魅力を伝えるなどが、私にとっては仕事における「生産行動」の一つになります。それによって、相対的に消費行動から距離を置けるだけではなく、自分のスキル・知識も高めつつ、相手に喜ばれるサービス提供にもなり得ます。

 

プライベートでも生産行動…例えば、家族のフォトアルバムを作ってみる、自家製パンを作ってみる、セミナー資料を作成してみる等、興味がある生産行動に挑戦してみると、完成までのプロセスを楽しめたり、自身の経験やスキルを高めてくれたりと、副次的なメリットが大きく、それでいて節約に繋がることもあるのではないかなと思います。

 

 (5) 相手の良い面に目を向ける、感謝を言葉にして伝える

経営するお教室には、私以外に数名の先生が指導に入ってくださっています。先生たちのおかげで、多面的な視点で生徒の指導を行うことが出来たり、躓く生徒がいる場合には、その生徒に丁寧に向き合ったりすることができていて、本当に感謝の日々です。お教室経営をしていて実感することは、決して生徒と私だけではなく、親御さんであったり、先生方との良好な関係が、生徒への指導の質や仕事に対する幸福度を上げてくれるということ。せっかく働いて頂くのですから、気持ちよく、楽しく、そしてやりがいを持って働いてほしいもの。そのため、先生の良い面や生徒への対応で素敵だなと思ったところは、具体的に伝えるようにしていますし、感謝の言葉は出し惜しみせず、伝えるようにしています。それが結果として、指導(勤務)年数の長さに繋がったり、延いては生徒の満足度向上や、求人採用への稼働減・求人広告費の削減に繋がったりします。

 

これはプライベートでも同じで、例えば「これは主人がやって当たり前」ではなく、感謝の言葉を一言添える。嬉しかった気遣いは具体的に伝える(もちろん、自分に余裕がないと、常に上手くできるわけではありませんが…苦笑)。子どもに対しても、頑張ってくれて嬉しかったことなどを言葉でしっかり伝える。そんな些細なことが日常の満足度を上げ、ストレス買いを減らしてくれたり、夫婦の協力体制が高まり、不要な出費を防いでくれることも少なくありません。

 

今回、自営業の仕事の中でも、プライベートでも行えるコスト削減方法を5つほど紹介させていただきました。どれも無理ない範囲から、継続できるレベルからスタートし、自分に程よいバランスを作っていきました。【自分が継続しやすい、自分なりのコスト削減方法】を考えること自体もまた、プロセスを楽しむ生産活動(④に該当)に繋がるのではと思っています。

 



 

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この記事を書いたのは

中澤 嘉都美なかざわ かつみ

都内で子ども向けのそろばん教室を経営、今年6年目となる現在、150名程の生徒が在籍する。

大学卒業後は大手通信会社に総合職にて就職し、支店営業職~本社企画職など、幅広い業務に従事した後、第1子を出産。育休中に、今後のキャリアを見つめ直すことで、入社10年目にして退職を決断、現在のそろばん教室開校に至る。

プライベートでは、2児のママであり、日々、息子たちの育児に奮闘しつつも、週4日出勤で、仕事と育児の両立を図っている。

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