この記事を書いたのは
ファイナンシャルプランナー(AFP)
大学卒業後、法律事務所にて 23 年勤務ののち、ベンチャー企業に転職。
前職では、秘書、パラリーガルから育休を経て経理、人事と管理部門全般に従事。
実務を体系的に学ぶため AFP を取得。
現在もバックオフィス全般を担当、週 4 時短勤務で余白を大切に、パラレルキャリアを模索中。
中 2、小 6 の母。趣味は旅行、読書、筋トレ。
等身大のワーママとしての悩み、働き方、教育などについてブログにて発信中
まず、女性の雇用状況について確認してみましょう。
「女性活躍の現状」の表は女性の雇用状況を年代別に表したもので、昭和 56 年(1981 年)時点では、20 代後半で就業率が下がり、30 代後半になると再び上昇する、いわゆる M 字カーブが顕著です。
【出典】内閣府男女共同参画局「女性活躍に関する基礎データ」より
しかし、令和 3 年(2021 年)になると M 字があまり見られないようになり、結婚や出産というライフイベントにおいても女性が退職を選択しなくなってきたということが読み取れます。
次に「女性の年齢階級別正規雇用比率」を見てみましょう。
こちらは、令和 3 年(2021 年)の女性の年代別就業率と、そのうち正規雇用比率を表したものです。就業率自体は落ち込まなくなったものの、正規雇用比率は 20 代後半が最も高く、その後は回復せずに下がり続ける、L 字カーブと呼ばれる状態であることがわかります。
【出典】内閣府男女共同参画局「女性活躍に関する基礎データ」より
理由を特定することはできませんが、現在も「小 1 の壁」がその主要な要因の一つとなっているのではないでしょうか。
① 預け先の確保
保育園と小学校や児童館に併設されている公設の学童クラブとは、子どもを預かってくれるという意味で同じようなものだと考えがちですが、全く別です。
保育園のような細やかな見守りがあるわけでもなく、延長という概念もないため、お迎えが間に合わない場合は、子どもが一人で帰宅することになります。また、兄姉の下校に合わせて帰宅する子、早い時間帯に祖父母が迎えにくる子、習い事までのつなぎとして利用する子なども多く、そもそも閉所時間ギリギリまで預けられている子は少ないように感じます。
② 親の負担の増加
保育園時代は、出勤時間に合わせて子どもを預けることができましたが、小学校になると登校時間は一般的に 8:00~8:30 となります。ご家庭によっては、子どもより親の方が早く家を出なければならない場合もあります。
教科書やノートはもちろん、算数セットのとても細かいパーツの一つ一つなど、持ち物全てに記名する作業や、記入して提出しなければならない大量の書類など、入学直後は親がやるべきことが膨大です。(お名前シールを事前に準備することは必須です。)
4月に行われる保護者会(公立小学校では一般的に平日に開催されます。)では、PTA 役員も選出されます。そして、最大の難関は長期休みです。毎日お弁当が必要な上、ずっと公設の学童クラブに預けられている子は多くありません。夫婦で交代で有給休暇を取得する、祖父母の家に預ける、サマーキャンプに参加するなど、事前に計画しておくことが必要です。
③ 子どものフォロー
親の負担が増加することにフォーカスしがちな「小 1 の壁」ですが、子どもにとっても小学生になるということは大きな壁です。
小学校と学童、新しい二つの環境が同時に始まり、一人での登下校、勉強や宿題、お友だちや先生との関係など、小さな体に負担は大きく、最初はとても疲れています。保育園時代は、送迎時に毎日先生にお会いするため、不安なこともすぐに相談できましたが、学校の先生にはなかなかコンタクトしづらく、学校での子どもの様子がよくわからず親も不安です。
子どもに寄り添ってフォローを心掛けたいところです。
④ 親の負担が軽くなると思われがち
子どもが小学生になっても時短勤務が認められる企業も増えてきてはいますが、まだまだ時短勤務は未就学児まで、という制度の企業が多いのが現状です。
表を見ると、そもそも時短勤務の制度がないという事業所も含め、全体の約 75%の事業所で小学校就学以降の時短勤務制度がないことがわかります。
子どもが小学生になると手がかからなくなり、育児の負担が軽くなるため、親はバリバリと仕事へ復帰できると思われがちですが、前述のとおり、小学校低学年の子どもは、まだまだフォローが大切になります。
【出典】厚生労働省「令和 3 年度雇用均等基本調査」より
このように、一般的なイメージと現実とのギャップが心理的負担となり、ストレスを感じることがあるかもしれません。
⑤ 世界が広がり、子どもが違いを知る
保育園という世界しか知らなかった子どもは、小学生となって初めて、世の中には仕事をしていなくて家にいるお母さんもいる、という事実を体感レベルで知ることになります。子どもの世界が広がり違いを知ること、ここを乗り越えることが、子どもにとって 1 番の壁なのではないでしょうか。
子ども自身が乗り越えていくのを見守ること、親にとってもそれが一番の壁なのかもしれません。
① 家族でよく話し合う
色々な家庭があること、パパとママが仕事をする理由についてなども、そろそろお子さんも一緒に話し合っても良いかもしれません。
② 夫と役割分担についてよく話し合う
夫婦どちらかが出社時間を遅らせて登校時間に在宅する、平日行事にどちらが出席するか、長期休みの対応についてなど、よく話し合っておくことが大切です。
③ 働き方を変える(会社に交渉する)
時短勤務、勤務時間の前倒し、フレックスタイム制、在宅勤務など、様々な制度があります。最初から諦めずに会社に交渉してみましょう。
④ 民間学童を利用する
長時間の預かりが可能で、送迎サービスや習い事を実施してくれるところ、長期休みには泊りがけのイベントを開催してくれるところも多く、年長の早いうちにリサーチが必須です。
⑤ ファミサポ(地域のファミリー・サポート・センター事業)を利用する
地域の子育ての相互援助を行う会員制の仕組みで、非常に安い料金(筆者の住む地域では1 時間 800 円)で、習い事の送迎や短時間の見守りなどを依頼することができます。事前に手続が必要となるため、地域のシステムを確認しておきましょう。
⑥ 働き方を変える(転職する)
条件に合う働き方のできる会社に転職する、派遣やパートに変える、独立するなど、今は具体的に考えられなくても、情報を集めておくことは大切です。
⑦ 一人で通える習い事に行く
公文やそろばんなど、自宅から歩いていける習い事もリサーチしておきましょう。未就学時の習い事についても、小学生になったら一人で通えるか?という視点を持って考えてみましょう。
「小1の壁」について、具体例と乗り越え方をご紹介してきました。
壁の具体例がわからないと不安が募るばかりですが、一つずつ紐解いていくと、それぞれの家庭において、入学前に考えておくべきことが見えてくるのではないでしょうか。
入学直後は大変なことも多いですが、子どもはどんどん成長します。あれもこれも完璧にこなそうと思わずに、家族で一歩ずつ進んでいきましょう。
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大学卒業後、法律事務所にて 23 年勤務ののち、ベンチャー企業に転職。
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